予告編
台湾高雄県小林村。この集落の住民の多くは台湾原住民、布農(ブヌン)族であった。
運命の日、8月8日。荒ぶる暴風雨に、小林村の人々は自分達の身に何が起こるのかを知る由もなかった。
翌日8月9日、一撃の爆音と共に土砂崩れが発生。瞬く間に小林村は壊滅。474人が生き埋めになり、彼らは一瞬にして親しい人と、先祖から受け継いだ故郷を失うことになる。それから、9年が経過した今。残された人々は農園にいる。
忘れることのできない悪夢、日々の暮らしと労働。彼らは今何を思うのか。異なる民族背景と新たな共同体。それに彼らはどう向き合うのか。当作は、8人の人物の言葉と、それぞれの民族歌謡を採集するところから制作は始まり、台湾と日本のクリエイターによって再構築された。災害。民族。台湾と日本の制作者。複数の因子で構成される《忘れることをおそれない (不要害怕忘記)》は、被写体や主題を語るのみに留まらず、作品に関わる人間たち全てから起こった現象であり、8月8日の悲劇は「アジアに生きる人々への映像詩」となる。