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こんにちは。
INSPIRING PEOPLE & PROJECTS(IPP)の監督 二宮です。

僕たちは、映画でもない、テレビでもない、広告でもない世界で映像をつくっています。
あえて言うのならば、ウェブ映像であるということは確実に言えます。
ウェブの映像だからといって、VimeoやYouTubeにアップされていたり、デジタル一眼で撮影しているからウェブの映像だとは思っていません。

ウェブの世界の映像だと考えた時に、先輩たちがつくりあげてきた映像業界のフォーマットからすっと開放され、
こんな風に思えるのです。「こんな映像があってもいいんじゃないの?」
映像業界の中では、なかなか思いたくても思えない感覚です。

Meeting03“PATO LOL MAN”は、「こんな映像があってもいいんじゃないの?」に挑んだ映像です。
一般的には、音楽映像は、ミュージックビデオであったり、ライブであったり。ドキュメンタリーであったり。商業的にフォーマティングされている印象を受けます。
そして、そのフォーマットの中で素晴らしい作品をつくってらっしゃる人たちがいます。

けれども、僕はどうも納得できないことが多いのです。
「音楽映像を観ている体験」と、「実際に音楽に感動している体験」との間に、どうしてもギャップを感じてしまうのです。
友人のミュージシャンのスタジオセッションでは、あんなに心が動いたのに、映像化されると、どうもグッとこない。
確かに映像になることで、情報は伝播しやすくなりますが。作りこめば作りこむほど、「音楽の力」は「映像の力」へと摩り替わっていきます。
これはこれでやっぱり好きなのですが、音楽とミュージシャンのことを考え始めると違和感を感じてしまいます。
だからといって、じゃあ作りこまない映像がいいのかとなると、それは素人の発想です。
パトロールマンの映像は、リハーサル風景を撮ってほしいというトウヤマさんのアイデアから撮影がはじまりました。
音が少々悪くてもいいんじゃないか。カメラの前で、ミスしてもいいんじゃないか。きまってなくてもいいじゃないか。
音楽が生まれるときに、それらは関係ないと思います。
映像だって同じです。撮影環境がベストでないことは普通だし、カメラが迷うこともあります。
けれども、人の心を動かす瞬間は、そんなこと関係なく映ってしまいます。

色々凝ろうと思えばできるけど、ほんとはこれだけでいいんじゃないの?という声が撮影していて心のどこかに常々あります。
きっと音楽の世界のパトロールマンにも、同じような感覚があるんではないかと思いました。

パトロールマンの映像は、ミュージシャンと映像屋の「開き直り!?」の映像です。
これでいいのだ。
を共有できれば、これでいいんです。

開き直れたら準備は万端です。
リテイクなしの撮影だなんて、わざわざ打ち合わせる必要はありません。
僕と印藤くんの二台のカメラは、三台目のカメラの画角のど真ん中に陣取ります。
ミュージシャンより僕らのほうが目立ちます。
でもこれでいいんです。
僕らはそこで撮りたいんだし、僕らが写っていたってパトロールマンの音楽の面白さには実害は及ばない。

演奏がはじまったら、カメラは迷います。
リハーサルの撮影だから何が起こるかわからない。
音はめくるめく展開しますが、絵としては、ワタンベさんがドラムを叩く、トウヤマさんが鍵盤を叩く。あと、歌う。それ以上に絵は変わりません。
途中から、印藤くんも僕も何を撮ったか全然覚えていません。申し訳ないのですが、どんな演奏だったかも覚えていません。

撮影が終わり、上本町の中華料理屋で印藤くんと話したことを覚えています。
なんか、ほんまにわからん撮影だったね。でも、なんかが映っている気もするし、映ってないかもしれない。
ひどい映像屋です。上手くいった確信も、失敗した反省も持てていない。ぽかーんとした状態。

やばいなあ。しくじったかなあと思い編集の作業に入ると、驚きます。
パトロールマンの演奏が立ち上がってないときには、カメラも迷っています。(二台のカメラとも迷っていますから、編集して誤魔化そうとしても逃げるところがない)
そしてパトロールマンの演奏に熱が生まれたときには、カメラの息も合います。
それに加えて、変化のないはず演奏風景に沢山の小さな出来事が映っていたことに気づくのです。

少しの表情だったり、ハイハットの震えだったり、ワタンベさんの靴下だったり、トウヤマさんの帽子の角度だったり。
言葉にするには小さすぎる出来事。
だけど、音楽が生まれる瞬間にとっては、それは大きな風景じゃないかと僕は思います。

そんな訳で最終的に、chap.#02は20分を越える映像になってしまいました。
ある人から、ニノさん、「鳥肌がたったけど、とても疲れたわ」とも言われました。

ヘッドホンの中の音楽や、ミュージックビデオの中の音楽は疲れないですよね。生活にぴったり。
だけど、実際の音楽を聞くのって、けっこう疲れるものだと思います。

Meeting03“PATO LOL MAN”
一つの映像が20分もあって、行き当たりばったりで、疲れてしまう映像。

僕はこんな映像があってもいいんじゃないかと思います。
ぜひ一度、そんな視点で映像を見てもらえると嬉しいです。

Meeting03“PATO LOL MAN”

project-ipp-03

(nino / Chance Maker)